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1.はじめに 2002年12月25日、株式会社読売新聞東京本社(以下「読売東京」といいます。)は、弊社が読売東京のホームページ「ヨミウリオンライン」の「記事見出し」を無断複製して著作権を侵害した、仮に著作権侵害ではないとしても「記事見出し」の複製により不法行為を行ったと主張して、弊社に対し、 @6825万円の損害賠償 A記事見出しの複製使用の差止等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起しました。 しかし、弊社としては、記事見出しに著作権は発生せず、読売東京の主張は理由がないと考えており、訴訟の場で弊社の主張の正当性を明らかにしていく所存です。 本裁判で検討すべき法律上の問題点は多岐に及ぶのですが、ここでは読売東京と弊社の主張の概略をご説明したいと思います。 2.読売新聞東京本社の主張 読売東京の主張をごく簡単に説明すると、@「ヨミウリ・オンライン」の「記事見出し」は、専門の作成スタッフを配置し作成している創作性のある著作物であり、弊社がこれを無断複製しているから著作権侵害である A仮に、著作権侵害でないとしても、記事見出しの無断複製等により読売東京の営業を侵害する不法行為をしているというものです。 3.弊社の問題意識と見解 【 「記事見出し」と著作権 】 みなさんは、「記事見出し」に著作権があるとお考えでしょうか?今回の裁判では、まさにその点が問題になっています。 著作権が認められると、その表現を使用するには著作権者の許諾が必要となるわけですから、影響は重大です。ここで「記事」や「記事見出し」について考えてみると、新聞社の報道記事や「見出し」を当該新聞社が作っていることは間違いありません。一般的に、小説や論文などの文章には著作権が発生し、通常は作者が著作権を有しますので、単に「記事の見出しは新聞社が作る」とだけ考えれば、「記事見出し」に著作権が発生しても不思議ではないと簡単に思ってしまいそうです。しかし、もう少し具体的に考えてみて下さい。「松井、大リーグ行き表明」「雇用保険料率1.6%に引き上げへ」「東証大幅続落、終値8690円77銭」「日本信販社長が引責辞任発表」「高円宮さまご逝去、47歳」「発泡酒10円〜20円増税へ」これらは今回の裁判で読売東京に著作権があると主張されている実際の「記事見出し」のほんの一部ですが、みなさんは、これらそれぞれに「著作権」を認めてよいと思われますか?これらに著作権が認められるとしたら、同じような表現を使用するには読売東京の許可が必要だということになりますが、それでは我々の表現の自由はどうなるのでしょうか。 法律上、著作権の対象となる「著作物」と認められる為には、「思想又は感情を創作的に表現したもの」、つまり「創作性があるもの」でなければならず、著作権法にも、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」はこの対象とならないとされています。しかし、「記事見出し」は、一定の事実関係や記事を前提に作られるごく短いタイトルや表題ですから、極めて同一あるいは類似になりやすく、内容的にも「誰が、いつ、どうした」といった事実そのものの表示にすぎず、到底創作性が認められるものではないのです。 もし、インターネット上で公開される記事の「見出し」そのもの全てに著作権が発生するとしたら、結果的に一部の報道機関が情報や事実の伝達方法(表現)を独占することになり、我々の表現の自由は大きく制約を受けることになります。弊社は、今回の裁判を通して、その不当性と危険性を訴えていきたいと考えおります。 【リンクの自由と営業侵害の主張について】 弊社が、ライントピックスにより提供しているサービスは、リンクの一括更新、オリジナルニュースの配信システムの提供、エクスチェンジサービス等いろいろありますが、読売東京に営業侵害として問題視されているのは、「リンク見出し」の一括更新サービスです。しかし、弊社が現在、一括更新の際にリンク先として選択しているのは記事ページへの直接リンク(別ウィンドウによる)を許可している「Yahoo!ニュース」であり、特定の報道機関(例えば読売東京)が提供する「見出し」を意識して選択しているのではありません。また、インターネット上に掲げられた論文や記事へリンクを張る場合、リンクの為の見出しとして、その論文や記事のタイトルである「論文の題名」や「記事の見出し」を表示するのは、極めて一般的かつ合理的で当然のことではないでしょうか。 実際、弊社では、当初「ライントピックス」サービスを検討するにあたり、「Yahoo!ニュース」の担当者宛にリンクの張り方、「リンク見出し」の表示についてメールで照会しています。そして、同カスタマーサービスからの「リンクの際の見出しはYahoo!ニュース内の記事の正式な見出しをそのままお使いいただくことが最も望ましい形です」「ただし、記事本文の内容とかけ離れた表現でなければ、多少のアレンジは可能です」との回答を得た上でサービスを開始しております。したがって、弊社の行為が「著作権侵害」であるとか「不法行為」であるとかという読売東京の主張は理由がないものと考えます。 弊社は、2000年4月に設立した新しい会社であり、当初から「インターネットユーザー全体での情報の共有」を目指して新しい情報サービスを模索してきました。「ライントピックス」サービスも弊社のそのような理念に基づくものです。「リンク」というウェブの基盤となっている「システム」「行為」「考え方」は、既存の情報媒体にはなかった特徴であり、「新しい文化」そのものだと考えています。弊社から見れば、誰でも自由に接することができるホームページ上に無料で情報を公開しながら、リンクを張ることを規制し、それに対して営業損害を主張するというのは、一種の自己矛盾と感じられてなりません。 「見出し」「タイトル」を表示してのリンクが違法ということになれば、インターネットはその利便性の一部を失い、せっかくの「新しい文化」が後退させられることは確実です。弊社は、そのような不当な結果を防ぐため、今回の裁判を懸命に闘っていく所存です。 |
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有限会社デジタルアライアンス LINETOPICS事務局 |
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